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#4:『声の持つ魅力』 (天使の琴声)~YUI~

2016.2.10 / 特集コラム

「天使の琴声」と言われる唯一無二の美しい歌声を武器に、幅広い世代から今もなお支持を受け続けているメジャーアーティストYUI。 音楽塾ヴォイス塾長の西尾芳彦氏に彼女との初めての出会いやデビューのきっかけ、そして今でも多くの人を惹きつける彼女の魅力について聞いた。

——— 初めてYUIと会ったときの印象はどのようなものでしたか?
西尾「彼女はまだ中学生でしたが、同じ年代の普通の子とは全く違う雰囲気を持っていましたね。”絶対に音楽をやるんだ!”という強い気持ちが表れている目をしていました。」
——— その後、音楽塾ヴォイスの塾生となったYUIですが、アーティストとして開花する、何かきっかけになるような出来事はあったのでしょうか。
西尾 「まだ彼女が入塾間もない頃でギターも弾けなかった時にAvril Lavigneの『complicated』を自分のオリジナルの歌い方で歌っていた事がありました。普段歌っている声とは明らかに違う雰囲気で、自分の世界に入り込んで自分の世界を出しているその歌声に強烈に惹きつけられました。その歌声に触発されて、曲を書きたいという衝動に駆られましたし、すぐ一緒に作り始めました。同時に、声の魅力というのは作られたものではなく、素材の中に光るものだと改めて認識させられましたね。」
——— 声を聞いて、曲が書きたくなるのですか?
西尾 「歌や音楽を聞いた時に、ドキドキがとまらなかったり、泣きそうになったり、楽しくて躍りだしそうになったりとか、そういうスイッチってありますよね。僕の場合ですが、そういったスイッチを片っ端から押された時、曲の構想だったり、メロディが出てきたりします。音楽的な化学変化というのは間違いなくあると思いますね。」
——— 化学変化が起きる声とはどのような声なのでしょうか?
西尾 「以前”癒しの声”とはどういったものかを分析するテレビ番組を見た事があります。その番組では、声を聴いた時、人間の脳の中には『α波』というのが出るらしく、その量が多い声がいわゆる”癒しの声”だという一つの分析結果を出していました。もちろん僕は自分の頭の中で『α波』がどれくらい出ているかなど測定した事はないので、なかなか説明は難しいですね。”いい声”というのは、もしかしたら自分だけがそう思い込んでいるのかも知れないですが、でもその思い込みの強さがどうあるかが僕は大事だと思っています。人から『いいでしょ』と言われても、自分の中で化学変化が起こらない時はどうやっても起こらない。とは言え、作る立場からすればリスナーの評価は大事です。非常に難しい事ですが、研ぎ澄まされた感覚を持って判断をしていくしかないですね。」
——— YUIさんは、ソニーオーディションがデビューのきっかけとなったそうですが、そこで少しハプニングもあったと伺ったのですが。
西尾 「ソニーオーディションの決勝大会は予定では2曲しか歌ってはいけなかったのですが、突然3曲目を『続きの曲です』などと言って勝手に歌い始めたんです。びっくりしましたね。まるで昨日のことのように覚えています。(笑)オーディションが始まる前に3曲目は絶対に歌ってはダメだと本人にも念を押していたんですが、ニヤッと笑っていたので『もしかしたら・・・』と心配していましたが、案の定、歌詞はでたらめのYUI語で、即興で披露していましたね。(笑)」
——— 同じ会場に西尾さんもいらしたんですよね?
西尾 「はい。その後叱られると思ったので、YUIと二人逃げるように会場を去り、羽田空港に向かいました。(笑)福岡空港に着いて携帯電話を確認するとたくさんの留守電が残っていました。これはかなりまずいなと思って聞いてみたら集まって頂いた全レーベル、審査員の全員が最高点をつけたので至急連絡を下さいという、思ってもいない内容でした。そこからYUIの人生は大きく変わり、プロの道へと進む事になりました。」

——— 数年後、アコギ系ガールズロックの頂点に立っている姿というのは予想されていたのでしょうか
西尾 「まさか、ギターを弾いて歌うシンガーソングライターのトップまで登りつめ、未だに半ばレジェンド的な存在として扱われる事になるとは、思いもよりませんでした。ただ、きっと何かを変えてくれる存在になるという確信は自分の中にはありました。デビュー前に音楽塾ヴォイス福岡校の六畳一間のレッスン室で何曲も曲を書きました。YUIという存在を目の前にし、その声の持つ世界観に圧倒され、自然にメロディが舞い降りてくる事も多かったですね。1日1~2曲という物凄いペースで制作を行っていました。ソニーのオーディションを受ける以前、一部では『こんな音楽は古い、時代と逆行している』という意見もあったのですが、普遍的な音楽はいつの時代も変わらず人の心を感動させる事ができると信じて、ブレずにやっていました。10年経っても色褪せない音楽は絶対にあると信じていました。結果は思っていた以上の反響があり、その後のYUIの音楽人生に大きく繋がっていったと思います。」

(2016.2.10 インタビュー・文:大橋純)

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