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楽曲分析

Analysing

#3 家入レオ『Bless you』

2015.12.15 / 楽曲分析



『Bless you』


2012年9月12日リリース

作詞:家入レオ

作曲:西尾芳彦/家入レオ

・オリコン最高位8位

・TBS系列『COUNT DOWN TV』2012年9月オープニングテーマ








■メロディの差別化
この曲のコード進行は特殊な構成になっていて、Bメロとサビ(前サビ)が同じコード進行になっています。
Bメロとサビ、特に連結するセクションになるのでこの二つを同じコード進行にして楽曲を成立させるにはメロディによる差別化が必須になってきます。
『Bless you』もBメロとサビの差別化をする為にいくつかのテクニックを盛り込んでいます。



【『Bless you』に登場する主なコードとその大まかな役割】 ※key of B


コード B C#m D#m
和音記号 I IIm IIIm
機能名(読み) T(トニック) SD(サブドミナント) T(トニック)
役割 明るく安定した響き 浮遊感のある響き 安定した響き


E F# G#m A#m7-5
IV V VIm VIIm7-5
SD(サブドミナント) D(ドミナント) T(トニック) D(ドミナント)
浮遊感のある響き 不安定な響き 暗く安定した響き 不安定な響き









Aメロ、Bメロの8分音符主体の比較的ゆったりとしたメロディに対して、サビは16音符主体のメロになっています。Bメロとサビで言うとまずはメロの導入部、アウフタクト入りのBメロに対して、サビは小節頭から入るという差別化がされています。いずれもQuestion&Answerの構成になっていて、それぞれ全く違う性質のメロを持ってきています。譜面を見比べてみてください。
他の曲を分析する時にも言えますが、ただ漠然と聞くのではなく、A、B、サビ、さらにそれぞれのQ&Aと細分化して聞いてみるとより明白に曲の特徴を掴む事ができると思います。
『Bless you』の最後サビに関しては同じコード進行の中で、音符の細かいメロディに変えています。これは1回だけ、完全にここにだけ登場するメロディです。
同じサビの繰り返しでも成立はすると思いますが、最後の最後、ここに感情の頂点を持ってくるために時間を割いて考えました。Bメロ、サビと何回も出てくるコード進行ですが、この畳み掛けるメロディでもう一段上のテンションに持っていけたと思います。ライブでもここは盛り上がりますね。

■歌詞とコードワーク
強いメロディライン、印象的なフレーズ(愛なんていつも残酷で・・・)も相まってかなり否定的に聞こえるサビ頭ですが、後半部分ではそれを否定して前に進んで行こうとする、そんな構成になっています。



1サビ歌詞


愛なんていつも残酷で もう 祈る価値ないよ


そう言って 涙隠した 心消さないで


飾りもつけずに もがいてる




各サビの締めは希望的なものを匂わせるように聞こえると思います。そういう風に聞かせる為、ここでは締めのコードをトニックに解決させず、ドミナントのコードで終わるようにしています。ドミナントのコードは不安定な響きを持つと同時に、次に続く感じのある、安定感のあるトニックのコードに進もうとする性質を持っています。

通例通りトニック(BもしくはG#m)でサビを締めた場合、歌詞の内容も含めかなり違った印象になるはずです。 結果的にどのサビも希望と迷いを内包した奥行きのあるものに聞こえるようになっていると思います。

 


※後日談
エンジニア&アシスタントとして西尾先生とアーティストさんの制作現場に同席している坂本です。
楽曲制作の苦労話などは今までのどの曲であってもいくらでも出てくるのですが(笑)、中でもこの曲『Bless you』の制作は劇的なものになりました。
『Bless you』は特に歌詞制作が最後の関門になっていて、西尾先生がプロデューサーとして納得できる「これだ!」というラインにまで持っていけたのは締切当日の朝。作業が終わった時はこれぞ正に満身創痍といった感じでしたが、それもそのはず、その後西尾先生はその日のうちに救急車で病院に搬送され、重大な病気が発覚、速攻で入院、手術、その後約2週間の間生死の狭間をさまよう・・・といった衝撃的な出来事が起こりました。西尾先生が本当の意味で命懸けで作り上げた1曲となっています。
それから必死の闘病生活の末、制作やヴォイスの現場にも復帰した西尾先生の気合いと情熱には改めて驚かされました。
今後も変わらず素晴らしい楽曲を作っていってほしいですし、自分もそのお手伝いをさせて頂ければと思います。







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